中距離核戦力全廃条約 <アメリカ・条約・ソ連>

アメリカとソ連が1981年11月に交渉を開始し、1987年11月8日に署名した条約で、射程500~5500キロメートルの中距離核戦力を世界的に禁止している。

INFの規制問題は、もともとソ連が1977年より旧型のSS-4、-5ミサイルに替えて個別誘導可能な3弾頭を搭載し、命中精度も優れたSS-20を配備したことに端を発した。

西欧諸国は、戦略兵器制限交渉などで米ソの戦略核戦力の均衡がとれている条件下では、主として西欧を標的とするSS-20の配備はアメリカの対欧州拡大抑止の信頼性を著しく損なうとして不安を募らせたからである。

西側はNATOで対応策を検討したが、その結果が1979年12月のNATO理事会における二重決定であった。

これは西欧に配備されているアメリカの中距離戦力の近代化更新準備とソ連との交渉を同時に進めるというものであった。

本格的な米ソ交渉は1981年に誕生したレーガン政権の下で始まったが、当初はレーガン政権が従来の軍備管理交渉方式そのものに懐疑的であったこともあって進展がみられなかった。

西側が米国の新INFの配備期限としていた1983年末に至り、アメリカが西欧諸国に新INFの配備を開始すると、ソ連は退席し交渉は中断された。

交渉が再開されたのは、1985年ソ連にゴルバチョフ書記長が登場してからであった。

ソ連が「絶望的」と認めるほどに停滞した国内経済の改革と建て直しに乗り出し、そのために平穏な国際環境を欲し、また軍備の負担を軽減する努力を始めたことが最大の促進要因となった。

INF交渉は、1985年に戦略兵器削限交渉、宇宙兵器規制交渉を相互に関連させる包括軍縮交渉の一環として再開されたため、当初はソ連のSDI反対と絡み進展が危ぶまれた。

しかし結局ソ連が他の交渉との切り離しに応じるなど妥協に動き、1987年11月の署名にこぎつけた。
update:2010年02月25日